和時計時報に関して

はじめに

昔の時刻制度、「不定時法」に基づいて動作する時計を和時計と言われています。
はてなハイクうし(http://h.hatena.ne.jp/yomiusi/)では、不定時法で時報を報告しています。

これは、
http://d.hatena.ne.jp/kdaiba/20071121/p1#c
ソースコードを利用していました。
が、これに問題があること(とは言っても刻の順序)がわかりました。

不定時法とは

まず、不定時法は、日の出と日没を基準としており、
太陽が出ている時間を昼、太陽が沈んでいる時間を夜としました。

昼と夜の区切りになる箇所として

  • 日の出およそ30分前(星が見えなくなるころ)を明け六つ
  • 日没およそ30分後(星が見え出すころ)を暮れ六つ

としました。

昼の時間を6等分、夜の時間を6等分してこの単位を一刻(いっとき)います。
従いまして、季節によって昼の一刻、夜の一刻の長さが変わります。
さらに、一刻を4等分する数え方があり、丑三つ時というのは、
丑(うし)の刻の3つめを指します。

一刻の呼び方には十二支と数を使う二種類があります。
十二支は子・丑(うし)・寅・卯・辰・巳・午(うま)・未・申・酉・戌・亥
数は、九つから順に四つまで下がり、明け・暮れなどその時刻の状態をつけます。
一刻の時刻を知らせるのは、現在の時報では0分です。
当時の不定時報では、刻の中間(つまり三つ時)に鐘を鳴らしていました。
これを正刻といいます。
現在の時報で、昼の12:00を正午(しょうご)と言いますが、これは、
不定時報で、ちょうど真昼が正午(しょううま)だったことに由来します。
また、正午(しょううま)=昼九つ=午の刻三つ時となります。
夜は、正子(しょうし)=真夜九つ=子の刻三つ時です。
現在では、正子とはいいませんね。

で、元のプログラムで何がおかしかったかというと、
この明け六つや正午(しょううま)等の正刻がずれていました。

正誤表とパッチ

日の出から正午までの正誤表はこんな感じ

元のプログラム 正解(刻) 正解(十二支と時)
明け六ツ 明け六ツ 卯の刻三つ時
卯の刻二つ時 卯の刻四つ時
卯の刻三つ時 明け六ツ半 辰の刻一つ時
卯の刻四つ時 辰の刻二つ時
朝五ツ 朝五ツ 辰の刻三つ時
辰の刻二つ時 辰の刻四つ時
辰の刻三つ時 朝五ツ半 巳の刻一つ時
辰の刻四つ時 巳の刻二つ時
昼四ツ 昼四ツ 巳の刻三つ時
巳の刻二つ時 巳の刻四つ時
巳の刻三つ時 昼四ツ半 午の刻一つ時
巳の刻四つ時 午の刻二つ時
真昼九ツ 正午・昼九ツ 午の刻三つ時
午の刻二つ時 午の刻四つ時
正午 昼九ツ半 未の刻一つ時
午の刻四つ時 未の刻二つ時
昼八ツ 昼八ツ 未の刻三つ時

これに基づいて修正パッチは下記の通り(半刻を出すように変えてます)

@@ -17,55 +17,55 @@
 
 my @daytime_name = qw(
   明け六ツ
-  卯の刻二つ時
-  卯の刻三つ時
   卯の刻四つ時
-  朝五ツ
+  明け六ツ半
   辰の刻二つ時
-  辰の刻三つ時
+  朝五ツ
   辰の刻四つ時
-  昼四ツ
+  朝五ツ半
   巳の刻二つ時
-  巳の刻三つ時
+  昼四ツ
   巳の刻四つ時
-  真昼九ツ
+  昼四ツ半
   午の刻二つ時
   正午
   午の刻四つ時
+  昼九ツ半
+  未の刻二つ時
   昼八ツ
-  羊の刻二つ時
-  羊の刻三つ時
-  羊の刻四つ時
-  夕七ツ
+  未の刻四つ時
+  昼八ツ半
   申の刻二つ時
-  申の刻三つ時
+  夕七ツ
   申の刻四つ時
+  夕七ツ半
+  酉の刻二つ時
 );
 my @nighttime_name = qw(
   暮れ六ツ
-  酉の刻二つ時
-  酉の刻三つ時
   酉の刻四つ時
-  宵五ツ
+  暮れ六ツ半
   戌の刻二つ時
-  戌の刻三つ時
+  宵五ツ
   戌の刻四つ時
-  夜四ツ
+  宵五ツ半
   亥の刻二つ時
-  亥の刻三つ時
+  夜四ツ
   亥の刻四つ時
-  真夜九ツ
+  夜四ツ半
   子の刻二つ時
-  子の刻三つ時
+  真夜九ツ
   子の刻四つ時
-  夜八ツ
+  真夜九ツ半
   丑の刻二つ時
   丑の刻三つ時
   丑の刻四つ時
-  暁七ツ
+  夜八ツ半
   寅の刻二つ時
-  寅の刻三つ時
+  暁七ツ
   寅の刻四つ時
+  暁七ツ半
+  卯の刻二つ時
 );
 
 my $twitter = POE::Component::Client::Twitter->spawn(

近々 CodeRepos.org のソースを修正してコミットする予定です。

よくある質問とその回答

Q.時間ずれてない?
>和時計時報
>うしが正午をお知らせしました
>by yomiusi 2008-09-02 11:42:03 from IM

A.和時計時報は江戸(現在の東京)の緯度経度を使っているので、昼は18分ほど早いです。

謝辞御礼

もともとのプログラムを作成してくださったid:kdaibaさん、
調べるきっかけをくださったid:ken_woodさん、
誤りを指摘してくださったid:takejinさんに感謝します。